いろはに金平糖ちりぬるを

読んだ本・見た映画の備忘録

「ミッドサマー』感想

携帯のメモ帳から劇場公開当時の感想を発掘した。2020年2月の後半に見たはずで、そのあたりから新型コロナウイルスはかなりまずいから外出ももうやめたほうがいいのかなという空気だったのを思い出す。事実その後6月頃まで劇場で映画を見ることがなかった。これ見た後の昼はモスバーガーでめちゃくちゃ手を洗ってからハンバーガー食べた記憶がある。

 

うおおおお思ったより普通だった〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!別に「グロとか鬱系のやつ耐性できちゃってるのかも〜笑」とか言いたい訳じゃねえんだけど(マークの散々な様子とかわりと気持ち悪かったし…)思ったより普通だった……というか予想を超えるものがなかったのでなるほどね〜とかそういうのある〜(カップルの喧嘩、女の「責めてるんじゃなくて話し合いがしたいだけ」とかインターネットで死ぬほど見た!!!!!と思ってしまった)とかで終わってしまった感じかな……いや、そもそもホラーだと思ってたというのが間違いなのだが……

・理解し難い他人の価値観への不快感

・理屈をすっ飛ばしての異常なほどの共感への不快感

とかの、自他の境界に関わる不快感についての話なのかな?と思った…わからんが…というか世の中の大体の話そういうあらすじにしようと思えばできそうだからちょっとガバガバすぎる感想かもしれない。

主人公がカレピと村娘の性交を見て泣き叫んでる時に周りの女が死ぬほど共感して泣き始めるのめちゃくちゃ気持ちわり〜…嫌だな〜〜ってなったので、個人的にはその辺の簡単に共感してくるキモさみたいなのがよく描かれてる映画に見えたのかもしれない。俺も親いないから気持ちわかるよ…っていう台詞とかもマジほっといてくれや〜!!!!!だし…まあそのケースは狂人の可能性がある奴に共感されたくねえ〜!!!という気持ちなのですが…

どうでもいいのですが「イチイの木から取った 苦しみはない」の後に間をおかずウオアアアーーー!!!!!(メッチャ苦しい!!!!!!!)みたいなカットあるの少し面白くなってしまった。あと、聖典は長老が解釈してます→いやそれ創作し放題やんけ!とかも、欺瞞に満ちた狂気の集団…というよりズコー感があるような、いや狂気の集団が独自解釈でグロい人殺しをしまくるのはもちろんおぞましいし怖いんですが。

冒頭の妹と両親の死が教団とは特に関係なさそうなのは良かった!こういう物語上の全てに理由ついてるというか対応する要素がありまーす!ってされると萎えちゃうタイプなので…。

この前ダニーの救済に力が置かれたセラピー映画っていう意見を初めて確認したので(今までその意見に異を唱えてる意見しか見たことがなかった。まあTwitterのタイムライン構築による偏りでしょうね)ちょっと驚いた。まあ何が救済なのかは本人による、というのは大前提とした上で、別にダニーは救われてないじゃんと思うので…。確かにラストシーンのダニーは微笑んでいるし、その心のうちはわからないが、ダニーは自己決定ができないカルトの仕組みに取り込まれると言う条件付きで共感してくれる他者に囲まれて生きる場所を得ただけで、要は依存先が変わっただけなので……。別に力になってくれない、裏切り者の彼氏を切り捨てる強さを得た訳でもなく(というか彼氏に100%ダニーの力になってくれってのも無理があるだろ…彼氏も論文パクったりダニーを連れていく話を仲間に黙ってたりどうしようもないところはあるけど、それとこれとは話が別だろ)そもそもカルトの土俵に乗った上での話でしかないのでなあ。そこに至るまでには薬物や環境によって追い詰められてまともな思考ができなくなった過程があるわけだし。自我が瓦解しただけで。まあ、そんなこと分かった上でセラピーっていう言葉を使ってるんだろうとは思うが。私のこの意見は「人間は自立した意見・自身に関わることの決定権を持っている/基本的に自分で選んで決定し生きるもの」っていう意識がバリバリに強い考えを根底に持ってるから出ているものなのもわかってはいるのだが…何だろうな、「だから何?」から先に進めなかった。この映画に関しては。

ついでに言うとそういう「人の数だけ幸せがある論」を安易に口にすることは私はあまり好きではない。

あと、結構見かける「薬物をやってる時の画面の揺れとか幻覚や音響で気持ち悪くなった」というのも全く無かったので、自分はものすごく鈍感な人間なのかな…と思ってしまった。まあこれこそ仕方ないことではあるが……。個人的に主役の演技がとてもよかった。不安定になった時特有の口の歪み方、しゃくり上げ方、不快なんだよな〜!!だから支えなきゃって気持ちとウゼエ…って気持ちがないまぜになるのもわかる!でも彼氏はクズだよ…って思ってしまい、その点で居心地の悪い思いをさせられたので、アリアスター監督はそういうのが上手いのかもね。