いろはに金平糖ちりぬるを

読んだ本・見た映画の備忘録

巨大な雲

図書館を出ると今までみたことのない大きさの雲が出ていた。空を見上げてもいないのに視界に入る大きさの雲は、右から左に頭を振っても途切れることなくひと続きになっていて、もし自分が今3歳で、大人にこれはめちゃくちゃ高い山だと言われていたら多分信じていた。目がおかしくなりそうなくらい白く、呆然と眺めていると網膜がダメージを受けるのを感じる。私の頭では一生思いつかないような形の峰や凹凸があり、はっきりと目で捉えることはできない陰影があって、マスクの下で口を開けてそれを眺めている。なんとかしてこれを一生覚えていたいと思うが、私のスマホのカメラと技術ではこれを写すどころか、記憶の補助になるものも写せないことが自然とわかる。雲を直に見ているときにはもっと言葉が出てきていたはずなのに、家に帰ってからこうしてスマホを打つと文章もぐったりした冴えないものに成り果てていて、いつもこんなことをしている。